就労支援の仲間と挑む薬局DX!薬品マスター整備で見えた「誰かの強みが生きる場所」

#仲間との挑戦#就労支援#チームワーク#地域連携

最大の壁:1万件を超える「医薬品データ」を誰が入力するのか?

自作の処方監査支援システムを作り始めたとき、すぐに巨大な壁にぶつかりました。
システムそのものの画面はAIの助けを借りてなんとか作れたものの、それを動かすためには膨大な医薬品のマスターデータ(薬品名、規格、用法、禁忌事項など)を正確に入力・整理しなければならなかったのです。

当薬局で扱っている医薬品だけでも数千品目。全国の採用薬を含めると1万件を超えます。
日々の調剤と服薬指導に追われる薬局スタッフだけで入力するのは、どう考えても不可能です。

「せっかく良い仕組みの原型ができたのに、データが揃わなければ動かない……」
またしても諦めかけた私の頭に浮かんだのは、近隣にある「就労継続支援事業所」の皆さんのことでした。


就労支援事業所へのご相談と、丁寧な作業への感動

当薬局では以前から、処方箋の整理用クリップの組み立てや清掃などで、地域の就労支援施設の方々にお世話になっていました。
所長さんにご相談したところ、
「パソコンを使った正確なデータ入力作業は、利用者さんたちのスキルアップや就労の自信にとても繋がります。ぜひ一緒にやらせてください!」
と力強く引き受けてくださったのです。

もちろん、医療データの取り扱いには細心の注意が必要です。
患者さんの個人情報は一切含まない「医薬品の公知データ(薬品名やコード、包装単位)」のみを切り出し、AIと一緒に初心者でも間違いなく入力できる専用の入力フォームを作って提供しました。

⚡ 奮戦・失敗メモ: 最初につまずいた「ルビと単位」の違い

実際に始めてみると、医療業界独特のルールが壁になりました。
「mg」と「g」の打ち間違いや、薬品名の濁点・半濁点の揺れなど、初期はチェックに時間がかかってしまいました。
しかし、支援施設の指導員さんと「どうすれば迷わずに入力できるか」を何度も話し合い、入力画面にプルダウン選択や自動エラーチェックの仕組みを組み込むことで、あっという間にミスがゼロになりました。


「誰かの役に立っている」という実感がもたらした変化

作業が進むにつれて、支援施設の担当者さんから嬉しいご報告をいただくようになりました。

「利用者さんが『自分が入力したデータが、街の薬局でおじいちゃんやおばあちゃんを助けるシステムに使われている』と聞いて、目の輝きがまったく変わりました。毎日の作業にすごく誇りを持って取り組んでくれています」

その言葉を聞いたとき、涙が出そうになりました。

定年間近の私が「自分の現場を楽にしたい」という小さな思いから始めたプログラミングが、巡り巡って地域の誰かの「働く喜び」や「生きがい」に繋がっていたのです。


一人ではできなかったことが、仲間と一緒なら形になる

現在、就労支援の皆さんが丹精込めて整備してくださった医薬品マスターデータは、当薬局のシステムで毎日完璧に稼働しています。

調剤室の画面で薬の名前が出るたびに、私は画面の向こうにいる支援施設の皆さんの丁寧な手仕事を思い出します。
現場の薬剤師、調剤事務スタッフ、そして地域の就労支援の仲間たち。
それぞれの強みを持ち寄り、AIという道具で繋ぎ合わせることで、大企業にはできない「心あるDX」が形になりました。

現場の困りごとは、技術だけで解決するものではありません。

「人と人との温かい繋がり」があってこそ、テクノロジーは本当の力を発揮するのだと、改めて教えられました。
これからも、この大切な仲間たちと一緒に、次の改善へ挑戦していきます!